草稿
創作の作業場。ネタや草稿を書き散らすところ。
序章
『――汝の血が世にある限り、この身は大地の礎となり、この魂は汝へ捧げよう。これは、我が唯一の誓約である』
かつて、世界は滅亡の危機を迎えた。
大地は裂け、風は唸り、木々は枯れ果てた。暗雲が空を覆い、太陽も月も星も掻き消した。命という命が痩せ細り、蝕まれ、死の国からは数えきれぬほどの使者が降り立った。
国の境も人種の壁も越え、すべては闇へと飲まれようとしていた。
人々に為すすべはなかった。死にもの狂いで振った抵抗の手は薙ぎ払われ、希望は絶望を呼ぶばかりだった。世界は、滅びようとしていた。
救ったのは、一人の魔女と一匹の神竜。
互いに絆を結ぶ彼らは、ある誓約によって世界を救った。神竜の死骸は大地の奥底に潜り込み、すべてを支える礎となった。その血は大地を巡り、咆哮が風を鎮め、――魂は、ただ一人の愛する人へと捧げられた。
今、この世界は眠る神竜によって保たれている。もう、ずっとずっと昔の話、それはお伽噺であり歴史であった。
PR
-Comment-
ブログ内検索